分銅の校正証明書は信頼性を確保する重要書類

ものの重さを測る計器の信頼性を確保するには

はかりは、ものの重さを測る計器です。あまりにも当然のことなので「何を今さら」と感じるかもしれませんが、そのはかりが本当に信頼できるものだと自信をもって証明することは容易ではありません。ひとことではかりと言っても現代は種類がさまざまで、竿秤や天秤、台秤など形状の違いやアナログ・デジタルの違いなどもあります。一般家庭でも使われる台はかりや体重計もはかりですが、産業に用いられるはかりには精密さが不可欠です。計器には経年劣化でどうしても狂いが生じますが、誤差が許される世界と許されない世界とがあります。取引や証明に使用するはかりには何よりも信頼性が求められ、その精度を証明するために必要とされるのが分銅(ふんどう)です。検査がおこなわれ、基準として認められたものではかりの精度を確かめることで、ようやくそのはかりが正しい計器であると言えます。

公的機関が基準器検査をおこなう

はかりの正確さを証明するのが分銅でも、それがそもそも狂っていたら何の役にも立ちません。そこで基準となるものを公的機関が検査し、基準器検査証印が刻印された基準器検査成績書を発行するという対策を取っています。ただし、いかに販売時に成績書がついていても、その後の取り扱いが悪ければ正しい計量ができません。小学校の理科の実験でも習いますが、まず素手で触ることはできません。人の手には皮脂や汗がついているので、それだけで重さが変わってしまいますし、腐食してのちに質量が変わってしまうことになるためです。取り扱いはピンセットでおこない、決してぶつけたりこすったりしてもいけません。それほどまでに質量変化に注意して取り扱わなければ、重さの正しさは維持できないのです。

校正し証明書を発行することで信頼を確保

はかりの精度も分銅の精度も、公的機関で証明することができます。それが校正であり、完了すると校正証明書が発行されます。証明書は依頼した機関によってフォームは異なりますが、一般的には本文と値表の2枚でセットになっており、本文には依頼者や実施日などが記載されています。値表には測定値と測定条件が記載されていて、公称値(質量)と協定値が記されています。ここで重要なのは「不確かさ」です。不確かさは「誤差」と同じようなものですが、測定値が真の値とどれだけズレているかが示されています。言葉こそ不確かさですが、これこそが値の信頼性を客観に確率統計的に示したものです。つまり校正とは、正しさを証明するものというより、どれだけ不確かさがあるかを知ることで真の値への近さを示すものと言えるでしょう。

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